リボンの騎士 はまり役
2006.08.21 Monday 21:38
1週間更新を空けたのはもしかしたら初めてかもしれない。
先週1週間は夏休みを満喫しておりました。
ほとんど家に引きこもってゲームしてただけだけどな。
そんな廃人生活を送っていたけれども、
リボンの騎士は数回みていて、先週末で全公演パターンを見れた。
ここで一旦配役から感じた事についてまとめてみる。
今回の配役で「はまり役」と言われているのは、藤本、吉澤だろう。
元々ボーイッシュで売っていて男役が見事にはまるよっすぃ。
さばさばして、突っ込みキャラであるミキティは魔女のイメージに沿う。
そのほかの人に関しても程度の差はあるが、
それぞれのキャラに沿った配役となっている。
はまる役につけたのか、キャラに合わせて脚本したのか、
恐らくその両方だろう。いずれにせよ、
きちんと個性を活かす脚本にしたのは見事である。
主演の高橋。高橋に関しては、
本人の個性と役柄がマッチしているとはあまり感じない。
主役であるサファイアの個性は簡単に変えられないのも原因だろう。
この事はサファイアを演じる事がいかに難しいかという事でもある。
「はまり役」の場合は素の自分である程度マッチしているので
その意味では表現がしやすいともいえるからである。
石川梨華さんも難しい演技をしている。
梨華ちゃんは、一人でフランツ・淑女・ピエールの3役をこなしている。
これだけの役を一人で演じるのは相当大変だっただろう。
パターンの複雑さでいうと、梨華ちゃんが一番大変だが、
キャラクターの複雑さではサファイアが大変だろう。
サファイアという役柄は一つだが、その中で
皇女としてのサファイア、王子としてのサファイア、
魂を抜かれて男になったサファイアを演じている。
(あとリボンの騎士ね。)
サファイアという役は非常に難しい役である。
演じる役柄が難しければ難しいほど役柄の個性は強くなる。
高橋が演じないといけないのは、高橋愛ではなくサファイアだ。
サファイアの個性が強いために、それは高橋の個性とマッチしなくなる。
そのため「はまり役」ではなくなる。
では、マッチしない役を演じる事は個性を生かしていないのだろうか。
本当に高橋が演じているのはサファイアで、高橋愛ではないのだろうか。
ここでさゆみんの役柄について考えてみる。
さゆみんが演じているのは、淑女とスカウト・リューである。
この二つの役で求められている事はなんだろうか。
淑女では華やかさと女の子らしさを、
スカウトでは元気で明るく可愛い男の子を求められている。
リューに関しては男性を選んで「ちょっと格好よかったんで」
というぐらいなので、男の子である事は求められていないようだ。
元々名もない淑女であるし、原作にも存在しないリューである。
その役の設定はほとんどなく、役柄の個性は少ない。
役柄の個性が少ない分、素のさゆみんの個性で補間する事ができる。
役柄にはあまり難しい事が要求されていないのが実情だろう。
淑女やスカウトで求められている事はきちんと表現している。
しかし、もうちょっと頑張って欲しいと思う所もある。
一つ一つの表情や、自分がメインで演技していない時の演技。
そういう細々した所にどれだけ気を使っているか。
その点で不満を感じる。
脚本の中でキャラクターの設定が曖昧のため、
逆に演じにくいというのはあるだろう。
大臣や、ヘケートの場合は自分がメインでない所でも、
こまごまと演技が入っている。
例えば、スカウトのシーン。
メインで歌っているのはリューとリジェだが、
この時の大臣の演技は面白い。
二人が楽しそうに歌っているのに合わせて、
息子とナイロンが楽しそうに踊り始める。
息子とナイロンに一緒に踊るように誘われて踊り始めるが、
男であるからか、最初はかなり照れている。
台詞はまったくないが、その感情が伝わってくる。
葬送のときも、蘇りの歌を歌っている中で、大臣だけは唱和をしない。
サファイアが生きては息子が王になれないからだろう。
しかし息子は蘇りの歌を一生懸命に歌っている。
それをみて当惑しつつ息子の肩に手をかけるが、振りほどかれる。
この辺りの演技は恐らくきちんと定められたものだろう。
こまごまとした所まで決められている分演じやすいし、
キャラクターの設定も明確なのでどう演じるかもわかりやすい。
それに対して、さゆみんの剣の試合の時の演技や、
戴冠式の時の演技は多少の物足りなさを感じる。
求められている事の少なさから演じる事の少なさにつながる悪循環。
しかし同じ淑女の演技を観ても、やはり梨華ちゃんはすごいと思う。
かなりウザイぐらいの演技をしている。
表情一つ、動作の一つ一つにウザさを感じる。
このウザさは梨華ちゃんが本気で真面目に取り組んでいるからこそ
感じるものだ。同じ役でもここまでのものを見せられると
もうちょっと頑張って欲しいなと思います。
楽屋でキャッキャ言ってたのも何回か聞いたしね。
もうちょっと緊張感あったほうがいいのではないでしょうか。
求められている事が大きくないから、当然大きい成果は出せない。
さゆみんに大きい成果を求めるのは酷ではあるだろう。
淑女もリューも「はまり役」である。
ただどちらの役でも「道重さゆみ」が見えてしまう。
同じはまり役でも大臣は大臣であり、ヘケートはヘケートである。
それぞれの役をしっかりと表現する事。
本人の素の個性を表現する事。
この二つは相反するもののように見えて、表裏一体のものだ。
大臣も、ヘケートもサファイアも、役柄を表現しているが、
役を入れ替えて表現させたら全く別のものとなるだろう。
これは個性を表現している事と同じ事ではないだろうか。
高橋愛はサファイアの役柄を表現する事で、
同時に高橋愛を表現しているのである。
さゆみんももっと役を表現することによって個性を出して欲しいな。
今出来ない事はそれほど問題とは思いません。
いつか出来るように学んでいってほしいです。